技術図鑑
DDS(薬を届けるしくみ)
DDSは、薬をどうやって届ける?
1枚カード(画像)を開く →運び方を設計する
薬は、体に入ると血液に乗って全身に広がる。胃や血液の中の酵素に壊されたり、肝臓で分解されたり、腎臓から尿に出たりするので、狙った場所に届く量は一部になる。届いてほしくない場所に届けば、副作用の原因にもなる。DDS(ドラッグデリバリーシステム)は、薬の成分を変えずに、包み方や付け足す物を工夫して、この体の中での動き方を変える技術だ。
方法はいくつもある。錠剤やカプセルを少しずつ溶ける作りにすれば、薬が長くゆっくり出る(徐放性)。ポリエチレングリコール(PEG)という鎖状の分子をたんぱく質の薬につなぐと、分子が大きくなって腎臓から出にくくなり、血液中に長く残る。壊れやすい遺伝子の薬は、脂質でできたごく小さな粒に包んで守り、細胞の中まで運ぶ。貼り薬のように皮膚から、あるいは鼻の粘膜から吸収させる方法もある。
何に使われ、どこが難しいか
飲む回数を減らす薬、たんぱく質や抗体の注射薬、核酸医薬やmRNAのワクチン、関節に長く留まらせる注射、痛みの貼り薬などに使われる。薬の化学の設計とは別に、運ぶ材料と製剤の設計が要る。
難しいのは、体の守りの仕組みをくぐり抜けることだ。体は外から来た粒を異物として取り除こうとし、小さな粒の多くは肝臓に集まる。狙った臓器や細胞だけに届けるのは簡単ではない。運ぶ材料そのものが体に害を与えないこと、粒の大きさや薬の量を毎回そろえて作れること、保存中に壊れないことも求められる。
日本の会社が担う所
日油はペプチドやたんぱく質の薬に使う活性化PEGや、核酸医薬に使う機能性脂質など、DDSの原料を開発している。生化学工業はコンドロイチン硫酸にステロイドを結合させた化合物を開発し、メドレックスは皮膚から薬を吸収させる貼り薬の技術とマイクロニードル製剤を開発している。新日本科学は鼻の粘膜から薬を吸収させる粉の製剤と投与の器具を組み合わせた技術を持ち、日産化学はDDSに使うリガンドも手がける。
有報に書いている会社
有価証券報告書の「研究開発活動」または「事業の内容」に、この技術を書いている上場会社の一部。会社名の下は有報の原文の一文。
- 日東電工(6988)「「粘接着」「光学設計」「回路形成」「薄膜形成」「多孔」「分離」「核酸合成」「ドラッグデリバリーシステム」の8つの基幹技術をベースに様々な技術を組み合わせて新たな価値を提供しています。」研究開発活動
- ニプロ(8086)「5 医薬品包装関連商品医薬品包装材料の分野においては、医薬品の付加価値向上を目指し、徐放性(じょほうせい)製剤技術を活用した製品開発を推進しております。」研究開発活動
- ライオン(4912)「5 薬品分野では、製剤技術や薬効・薬理技術を中心とする研究成果を活かし、人々のセルフメディケーションニーズに対応した一般用医薬品などの開発を行っております。」研究開発活動
- 日本触媒(4114)「合成・分析技術やDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)技術をはじめとする独自の技術を開発。」研究開発活動
- 日産化学(4021)「また、独自のペプチド製造技術SYNCSOL®を活用してジェネリック医薬品原薬の開発のみならず、新薬候補やDDS(ドラッグデリバリーシステム)リガンドといった幅広い領域において顧客ニーズに合致したソリューションを提供しております。」研究開発活動
- 日油(4403)「DDS(ドラッグ・デリバリー・システム:薬物送達システム)医薬用製剤原料は、ペプチド医薬用やタンパク質医薬用の活性化PEG、抗体医薬用に単分散PEGや核酸医薬用の機能性脂質の開発を進めております。」研究開発活動
- 日本化薬(4272)「また工夫製剤・機能性展着剤といった製剤技術を基本とした研究活動でも成果があがっており、1件農薬が登録されました。」研究開発活動
- クミアイ化学工業(4996)「代表例が水面施用製剤「豆つぶ」であり、当社独自の製剤技術を活かし、軽量で省力かつ簡便に散布できる剤型です。」研究開発活動
- ホソカワミクロン(6277)「マテリアル部門では、国家プロジェクトで開発した独自の機能性ナノ粒子を活用し、医薬製剤技術および薬物送達技術(DDS)を駆使して、自社ブランドの機能性化粧品や育毛剤(医薬部外品)の開発・改良を続けています。」研究開発活動
- フマキラー(4998)「家庭用殺虫剤分野で培った製剤技術を応用し、工場、鉄道・航空運輸、店舗等向けの製剤や機器の開発にも注力しております。」研究開発活動
- ノエビアホールディングス(4928)「皮膚と製剤技術の研究成果 角層のラメラ構造を整える作用が特に強い三本疎水鎖構造をもつ「アシルセラミド」が、「多重層リポソーム」の膜構造を強化・安定化させることを発見しました(「第75回コロイドおよび界面化学討論会」にて発表)。」研究開発活動
- 生化学工業(4548)「SI-722は、当社独自のグリコサミノグリカン修飾技術やドラッグデリバリーシステムを活用してコンドロイチン硫酸にステロイドを結合させた新規の化合物です。」研究開発活動
- AFC-HDアムスライフサイエンス(2927)「当社グループの取組状況(1)研究開発の指針当研究開発グループは本草製薬(株)を傘下に広く技術刷新を図るべく、相互の製剤技術や、情報の共有化に努めてきました。」研究開発活動
- 新日本科学(2395)「…なる研究開発機関で、その経鼻投与基盤技術(SMART)は、当社が独自に発見した担体をベースにした粉体製剤技術と独自設計の投与デバイス(医療用具)を組み合わせたプラットフォーム技術であり、鼻粘膜からの速やかな薬物吸収に基づく即効性を特徴として…」研究開発活動
- 森下仁丹(4524)「(1)コンシューマー事業当社グループは、基幹技術であるシームレスカプセル製剤技術を活用し、特定部位での成分放出を可能とする製剤設計に取り組んでおります。」研究開発活動
- スリー・ディー・マトリックス(7777)「…性局所止血材、粘膜隆起材、後出血予防材や癒着防止材等、組織再生領域では創傷治癒材及び歯槽骨再建材等、DDS領域では核酸医薬等のパイプラインへ応用し、製品化に向けた研究開発活動を行っております。」研究開発活動
- わかもと製薬(4512)「今後も胃腸、オーラルケア、フェムケア分野にて、培養・製剤技術をもとに製品開発を進めてまいります。」研究開発活動
- アイビー化粧品(4918)「また、化粧品・医薬部外品・健康食品に応用可能な製剤技術や有用成分に関する基礎研究を行い、その成果を第98回日本細菌学会総会にて1題、日本ケミカルバイオロジー学会第19年会にて1題、第54回医用高分子シンポジウム 1題 、第67回天然有機化合…」研究開発活動
- Waqoo(4937)「…製造方法、炎症を抑制する成分であるIL1-raを高濃度で抽出する新技術、並びに新規成分を組み合わせた製剤技術などの研究開発を行い、それぞれについて特許の取得または出願を進めております。」研究開発活動
- Veritas In Silico(130A)「くわえて、ASOをはじめとする医薬品を対象臓器に選択的かつ正確に投与する手法について当社独自に研究を進めて12月に特許を取得、そのドラッグデリバリーシステムを「Perfusio(パーフュージオ)」と命名しました。」研究開発活動
- メドレックス(4586)「当社グループ独自の経皮吸収型製剤技術であるILTS®、NCTS®を基に、対象薬物候補における高い経皮浸透性、皮膚安全性等の実用化基準を満たす経皮吸収型製剤の開発や、ワクチン等を搭載したマイクロニードル製剤の実用化に向けた技術開発を、当社グル…」研究開発活動
- プレミアアンチエイジング(4934)「(6) 「シントー」ブランドシリーズ 体感こそサプリメントの本質であるとの考えから、医療現場と同様のDDS技術を採用。」事業の内容
- ソレイジア・ファーマ(4597)「基礎研究や製剤技術の他社への提供による収益化を行うものではありません。」事業の内容
- NANOホールディングス(4571)「…中心に、革新的な医薬品の開発を進めてまいりましたが、2023年1月、低分子抗がん剤や核酸医薬開発及びDDS技術の知見を活かし、新たな治療技術として注目されるmRNAをはじめとする核酸医薬に特化し、効率的に複数のRNA医薬の創薬及び知財獲得を…」事業の内容
- リボミック(4591)「1DDSアプタマー技術 DDS(Drug Delivery System)とは、薬剤の体内動態や分布を制御することで、有効性を高めるとともに、副作用や投与負担を軽減する技術であり、核酸医薬品をはじめとする次世代モダリティの実用化に不可欠な…」事業の内容
- ファンペップ(4881)「新規開発化合物の探索研究と並行して、アジュバント技術を含めて強力な抗体産生を誘導する様々な製剤技術の研究にも取り組んでおります。」事業の内容
つながる図鑑
この頁から辿れる辺。問いの形で置いてある。
出典と生成
出典:手作りの定番(一次資料に依らない一般的な仕組みの説明)
この頁は生成器 v0.1.0 がデータから作った。生成日 2026-09-24。編集方針
