技術図鑑
真空技術
真空は、何の役に立つ?
1枚カード(画像)を開く →空気を抜くと何が変わるか
空気の中では、気体の分子は1万分の1ミリも進まないうちに他の分子にぶつかる。容器から空気を抜くと、分子がぶつからずに進める距離が伸び、酸素や水分も無くなる。
半導体や画面の部品では、真空の中で材料の原子を飛ばし、基板の表面に薄い膜を作る。材料を熱して蒸発させる真空蒸着や、材料にガスのイオンを当てて原子をはじき出すスパッタリングがあり、飛んだ原子が空気にぶつからず、汚れずに届くことが要る。成膜の装置では、気体を大気の何億分の1以下まで減らす。
金属の熱処理では、酸素が無いので表面が酸化しない。魔法びんは二重の壁の間を真空にして、熱を運ぶ空気を無くしている。圧力を下げると水は低い温度で沸くので、食品を真空にして水分を蒸発させ、その時に熱を奪って素早く冷やす使い方もある。
どこが難しいか
気体は薄くなるほど抜きにくくなるので、大まかに抜くポンプと、薄い所から分子を運び出すポンプを段階的に組み合わせる。容器の壁に付いた水分も少しずつ出てくるので、温めて追い出す。
一番漏れやすいのは継ぎ目と、ロボットの腕のように容器の外から中へ動きを伝える回る軸だ。軸の周りに磁石で液体を留めて密封する磁性流体シールなどを使う。装置の中で使う軸受や搬送ロボットも、真空の中で動くように作る必要がある。
日本の会社が担う所
真空技術を中心に、成膜の装置やポンプを作る会社がある。回る軸を密封する磁性流体の真空シールや、真空の度合いを測る真空計、真空の中で基板を運ぶロボットも、日本の会社が開発している。
使う側も幅広い。金属部品を真空の炉で焼き入れする熱処理の装置、電気を切る時の火花を真空の中で素早く消す真空遮断器、真空で断熱する水筒などがある。
有報に書いている会社
有価証券報告書の「研究開発活動」または「事業の内容」に、この技術を書いている上場会社の一部。会社名の下は有報の原文の一文。
- パナソニックホールディングス(6752)「本装置は、従来の真空蒸着方式と比べ、材料使用効率向上と開発リードタイムの短縮を実現するなど、高い技術的優位性を有します。」研究開発活動
- ニデック(6594)「…る周辺機器のセキュリティ強化機器 -液晶・有機ELディスプレイ関連機器 -半導体ロボット関連機器 -真空装置内搬送機器 ・検査装置 -半導体ウエハ用光学式自動検査装置 -半導体パッケージ用自動検査装置 -プリント基板、タッチパネル、FPC用…」研究開発活動
- ジェイテクト(6473)「・半導体製造装置向け軸受製品(展示会出展)半導体製造工程の厳しい環境条件に対応する高機能軸受技術群の拡充を目的として、高温・真空環境に対応するセラミック軸受、薄肉軸受、搬送ロボット用軸受ユニットを開発しました。」研究開発活動
- レゾナック・ホールディングス(4004)「共創の舞台では、宇宙空間での高機能半導体材料の研究・開発・製造に関して、微小重力及び低軌道の真空条件下で、半導体や半導体パッケージング向けの次世代半導体材料製造の可能性を探ります。」研究開発活動
- 日本酸素ホールディングス(4091)「携帯用まほうびんシリーズでは、サーモス株式会社として初めて水筒内面にセラミック加工を施した「セラクリーンコート」を開発し、その加工を採用した真空断熱ケータイマグJPBシリーズを発売いたしました。」研究開発活動
- 住友重機械工業(6302)「極低温・真空機器につきましては、超電導型量子コンピュータの冷却装置である希釈冷凍機の予冷用途で使用されるパルスチューブ冷凍機において、1.5WクラスRP-182シリーズの「空冷オプション」をリリースしました。」研究開発活動
- SMC(6273)「…ドバルブ プラグインタイプJSY3000-L9リモート調整弁(電動スピードコントローラ)PFES10真空パッド/長円ベロウ形ZP3P-WJT11真空グリッパシステム(パッドタイプ/スポンジタイプ)ZGP/ZGS Series12多段エジェク…」研究開発活動
- DOWAホールディングス(5714)「○工業炉事業・CO2削減ニーズに対応した、汎用性のあるセル式真空浸炭や真空焼結向け真空熱処理設備の競争力・商品力 強化・熱処理工程から排出されるCO2をほとんど排出させないバッチ式真空浸炭炉「Z-TKM」の競争力・商品力強化 と派生機種の…」研究開発活動
- 五洋建設(1893)「…構造物の点検・診断システム KTK-250015-A<更新>・汚濁拡散防止システム 第01002号・真空圧密ドレーン工法「キャップ付ドレーンを用いた圧密排水工法」 第05001号・ICタグによる水中転落者早期検知システム 第09005号・水…」研究開発活動
- 松田産業(7456)「また、半導体製造プロセスにおいて真空蒸着やスパッタリングに用いられる高純度貴金属加工品の開発を進めております。」研究開発活動
- 大同特殊鋼(5471)「さらに、狙いの窒素濃度分布を安定して得られるプロセス(真空浸炭と大気圧浸窒)も確立しています。」研究開発活動
- 島津製作所(7701)「また、金属3種のレシピを真空脱脂焼結炉「VHS-CUBE」に標準搭載しました。」研究開発活動
- ホシザキ(6465)「(その他)大型の据置型真空包装機を開発し、製品化いたしました。」研究開発活動
- プリマハム(2281)「工程管理基準の見直しについては、前連結会計年度に策定した真空調理食品のうちハンバーグ製造に関する新基準の他の真空調理食品への展開を継続しました。」研究開発活動
- 堀場製作所(6856)「(3) 先端材料・半導体当連結会計年度には、半導体製造装置に搭載されウエハ裏面の圧力制御を行う圧力制御器や、主に成膜プロセスに用いられる液体材料の気化器、高温プロセスに対応した真空計を開発し、上市しました。」研究開発活動
- 明電舎(6508)「既存事業の価値提供のアップグレードとしては、カーボンニュートラル社会実現のため、温暖化係数の高いSF6ガスを用いず、ドライエアを採用した真空遮断器の高電圧化・大容量化を進めました。」研究開発活動
- アズビル(6845)「技術開発の基盤強化としては、計測の「正しく測る」を確認するために温度・湿度・電気・圧力・真空・微小液体流量・気体流量・時間(周波数分野)で校正を行い、その基準となる計測器や発生器の物理標準を高精度に管理しております。」研究開発活動
- 大気社(1979)「当社が推進するドライ加飾は、従来のスプレー塗装(ウェット塗装)に代わり、フィルムを真空吸引・加熱・圧空により被塗物へ貼付することで、自動車外装部品等をフィルム加飾する技術です。」研究開発活動
- フェローテック(6890)「(1)半導体等装置関連事業1真空シール 真空シール事業におきましては、大手半導体製造装置メーカーの新機種や現行機の改良機種等向けの磁性流体シール開発の複数プロジェクトに取り組んでおります。」研究開発活動
- 三浦工業(6005)「また、学校給食分野向けに、小型の真空冷却機を新たに開発し、販売を開始いたしました。」研究開発活動
- 不二越(6474)「サーモテック事業では、真空浸炭焼入、焼戻、洗浄を1台で行うコンパクトなインライン型浸炭熱処理装置を2025年10月に市場投入しました。」研究開発活動
- アルバック(6728)「6【研究開発活動】当社グループは、真空技術をコアとしたイノベーションの創出・共創の推進を経営の重要な柱に位置付けるとともに、持続可能な社会の実現に向けた技術開発を進めております。」研究開発活動
- ダイヘン(6622)「また、FOPLPなどの先端パッケージ向けに省スペース化を実現する真空搬送用のスカラアーム型ロボット及び低振動、低床・高ストローク型大気ロボットの開発に取り組みました。」研究開発活動
- TPR(6463)「…ベーン(負圧ポンプ用に使われる樹脂製の仕切り板)の製品化・ゴム製品革新工法ラインの構築(開発継続)・真空環境下及び低温環境下摺動試験 (4)新素材(フロンティア分野)・長尺少層CNT 蓄電部材用の導電助剤として製品化・ナノポーラス材料 燃料…」研究開発活動
- イーグル工業(6486)「磁性流体真空シールについては金属ベローズシール、ロータリージョイントも組み合わせたハイブリッドシールやモータ一体型などの開発も進めております。」研究開発活動
- 三洋化成工業(4471)「…の探索として、学校法人立命館、国立大学法人東京大学と共同で提案した技術課題「月面土木作業に適した超高真空用油圧駆動アームの開発」において、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公募する宇宙戦略基金事業(第二期)の技術開発テーマ/…」研究開発活動
- タクマ(6013)「(2) 民生熱エネルギー事業木質バイオマス蒸気ボイラ、水素焚き真空式温水発生機・貫流ボイラなど、カーボンニュートラル燃料に対応した製品の拡充・改良のほか、CO2回収設備向けの「CO2濃縮型小型貫流ボイラ」の改良など、脱炭素社会を見据えた製…」研究開発活動
- 倉敷紡績(3106)「(4)食品・サービス事業真空凍結乾燥技術による乾燥加工食品の研究開発を行っております。」研究開発活動
- ニチハ(7943)「また、現場省力化・工期短縮を図る大型パネル、耐震性能を強化する制震ダンパー入りのウレタン複合パネル、省エネ性向上と薄型化を両立する真空断熱一体型のウレタン断熱パネルの開発を進めております。」研究開発活動
- 森六(4249)「3 加飾技術 従来からある塗装技術、また当社グループが得意とするフィルムシートを用いた真空貼合、インモールド、インサートなど幅広い加飾技術を生かし、魅力ある意匠と廉価な工法を兼ね備えた開発を進化継続させ、世界各地域での多様なニーズに適応し…」研究開発活動
つながる図鑑
この頁から辿れる辺。問いの形で置いてある。
- 会社図鑑アルバック(6728)アルバックは、何で稼いでいる?
- 会社図鑑フェローテック(6890)フェローテックは、何で稼いでいる?
- 会社図鑑日本酸素ホールディングス(4091)日本酸素ホールディングスは、何で稼いでいる?
- 技術図鑑チップは、どうやって作られている?半導体の作り方(露光・成膜・エッチング)
- 業界図鑑半導体業界は、何に左右される?半導体
ここへつながる図鑑
出典と生成
出典:手作りの定番(一次資料に依らない一般的な仕組みの説明)
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